広島市中心部にあるイタリアンレストラン「DIRETTO」の移転リノベーションプロジェクトです。移転前から、素材の味を最大限に活かしたシンプルかつ大胆なイタリアンで話題を呼び、ミシュラン広島版に掲載されたレストランです。
移転後のヴィジョンは、「シェフの厨房に招かれ、薪の火を眺めながらワインと料理を愉しむ」。薪火の原初的なイメージに付随して、緑・風などの外部環境の心地よさを体験に取り込むリクエストもありました。
店の顔となる外観は、従前の焼き鳥屋のイメージを一新し、アイコニックで美しい隠れ家となるよう特徴的な深緑の立体をカット。期待感が膨らむ見せる部分と、周囲の喧騒から離れて落ち着いて食事ができる環境を両立させる装置としても機能しています。外観から覗くグリーンは叢さんに担当していただき、ワイルドかつ繊細な動きのある緑となっております。
内部は、シェフの厨房に招かれるイメージから、カウンターメインの構成とし、窯を取り囲むように客席を配置。目に入るマテリアルはすべて妥協なきシェフの審美眼によって吟味されています。
カウンターは、アフリカ産アサメラの一枚板。インパクトのある木目は、水の流れを想起させる美しさがありインテリアの大らかさを決定づけています。眼だけではなく、触ってもリッチな体験となるよう耳は残し、思わず撫でてしまう感触をプラス。チェアはゆったりと過ごしていただけるよう通常より座面が低いpepeチェアをセレクト。窯はいぶし銀の耐火煉瓦でつくり、落ち着きのあるクラフト感が最新のフジマック厨房機器との味わい深いコントラストを生んでいます。鉄造作は加茂クラフトさんに担当していただき、ゆったりとしたインテリアを引き締める仕事をしていただきました。
現代版市中の山居、五感が悦ぶ小宇宙が広島に誕生しました。
設計・監理:平山善雄 有限会社永田建築事務所
所在地:広島県広島市
完成年:2020年6月
用途:イタリアンレストラン
施工:株式会社トレビ
延床面積:75㎡
構造・規模:鉄骨造1階
写真:杉野正和(株式会社メディアパートメント)